オーミー!フォーユー!

“お多賀さん”こと多賀大社へのお参りを終えて、今度はまた湖東三山方面をさらに東へ。
近江鉄道八日市駅からバスに揺られて約30分程で、風光明媚な山里に到着です。

今回目指すのは瑞石山永源寺。
鈴鹿山脈から端を発して流れ琵琶湖へと注ぐ、愛知と書いて“えち”と読む愛知川(えちがわ)沿いの
国道421号線を上流に向かって進むと、赤い欄干が目立つ旦度(たんど)橋に到着します。
この川沿い左に広がるのが永源寺境内なのですが、この橋から上流の眺めが実に素晴らしいです。

春は桜、秋になると紅葉に染まり、河面に映る景色が流れの鮮度と美しさとを表していますね。
さらに上流に進むとキャンプ場や、後ほど紹介する永源寺ダムがあり、東近江の観光名所の一つでもあるのです。

その旦度橋を渡り愛知川左岸側が永源寺境内へと続く参道です。
こちらには地元の名産を扱う土産物屋が数件並びますが、
愛知川で採れた岩魚やあまごなどの川魚を使った佃煮や名物の永源寺こんにゃくを食べさせていただけます。

早速なんですが、甘辛い風味の味噌でいただく田楽に舌鼓。
滋賀県ならではの茹でた赤こんにゃくと味噌の相性は抜群でした。

早過ぎる休憩から土産物屋さん通りを過ぎ、大歇橋(だいけつばし)と呼ばれる石橋を渡ります。
裏山から愛知川にそそぐ蟠桃渓(ばんとうけい)のせせらぎをこの橋で渡り境内へと進みますが、
湖東三山の寺院に比べると、距離的にはまだ短く感じられ、鍛えられたのか?
それほど登りは厳しくないと思いました。

が、それでも石段続きの参道で、右手に愛知川を望み左手はというと、これがまた風情のある石崖が続きます。
羅漢坂と呼ばれる120段ほどの坂で、石崖には何体ものお地蔵さまが彫られ、安置され、
実に霊験あらたかな風情を感じさせる参道です。
眼鏡を掛けて微笑むお地蔵さまがとりわけ温かみを感じさせてくれました。
その他にも表情豊かなお地蔵さまがチラホラ。
登りの難儀さを和らげる情緒豊かな参道です。

そして羅漢坂を登り切ると寺の入り口である総門に到着。ここからお参りです。

永源寺は康安元年(1361年)、室町時代後期でもある南北朝時代に創建されたとされる、
臨済宗永源寺派の総本山で、その当時は2,000人もの僧が集い、
山中には大小50以上の僧房があり、修行に励んだとされています。

しかし戦国時代に入り相次ぐ戦火で大小の伽藍は焼失し、現在の伽藍はほぼ江戸時代中期に再建されました。
そのひとつが享和2年(1802年)に創建された三解脱門(さんげだつもん)・三門とも呼ばれる山門です。
二階建ての堂々たる大門で、二階には仏様が祀られています。
こちらを潜ると多くの伽藍が、所狭しと並んでいる境内へと続きます。

まず左手に見えるのが華鯨楼(かげいろう)とも呼ばれる鐘楼。安永元年(1772年)の再建です。
愛知川と瑞石山に挟まれた狭い山裾に整然と立ち並ぶその光景は令和の時代でも、名刹の規模と歴史を感じさせる光景です。
回廊がそれぞれのお堂を結び、多くの僧が行き交います。
さらに進むと永源寺で一番大きな御堂とされ、方丈(ほうじょう)と呼ばれる本堂が目の前に現れます。
このお堂は明和2年(1765年)に徳川幕府の譜代大名筆頭で東近江を治めた井伊家の援助により建立されました。
大屋根は琵琶湖のヨシ(葦)で作られており、約10年ごとに葺替えを行っているそうです。
御本尊として世継ぎ観音とも呼ばれ信仰を集める観世音菩薩観音がお祀りされています。
秘仏ということで、普段お姿を拝むことはできません。
しかし中世の世に子宝に恵まれない人々がこの観音像に祈願をし、やがて世継ぎを授かったという話が広がり、
そこから信仰を集めることになったとされ今日に至っています。

さらに奥に進むと大雄宝殿(だいゆうほうでん)とも呼ばれる法堂(はっとう)。
こちらは古来の法要を営む場所で亨保13年(1728年)に再建。
その向かいには修行僧の修行の場所である禅堂。法堂から登回廊で繋がる開山堂。伽藍は奥へ奥へと続きます。

この永源寺は読経や座禅、食作法、法話を通じて自己研鑽を行う研修道場としても知られ、
グループで研修を行うこともできますし、全国から多くの僧侶が集う場所でもあります。
物静かで風光明媚な自然に包まれながらの座禅体験も貴重ですし、子宝祈願のお参りもよし。
湖東の見事な紅葉の時期ならなおさらです。
心を癒す時を過ごしてください。

永源寺を後に、さらに愛知川沿いに国道421号線を進みます。
山裾、山際の緑に包まれながら、やがて上流の永源寺ダムへ。
湖東平野に広がる水田に、農業用水供給のために造られたダムで、
水力発電にも利用されている大きなダムです。

ここまで愛知川沿いに上ってくると、改めてこの川の自然や歴史遺産の数々の奥深さを感じずにはいられません。
そして滋賀県の懐の深さも。桜の季節、紅葉の季節に訪れてみてください。

さて、旅の締めくくりというか、ここまで歩き続けた自分へのご褒美と半端ない空腹感から腹ごしらえをいたします。
目指すは今回の最大のお目当てであった“永源寺そば”。
永源寺に参拝する方なら、気軽に立ち寄れる(ただしランチタイムはかなり込み合っていることも)お店で、
八日市方面からお越しの方なら国道421号線沿い右手にあるわかりやすい場所で、永源寺参りの前後にお勧めです。

地元の農家の皆さんが共同で運営されているお蕎麦屋さん。
一階、二階に席はありますが、二階はゆったりとしたテーブル席にカウンター席があり、
リフォームされたのか、明るく清潔感あふれる静かな店内です。まさに地産地消で、地元産のそば粉に有機野菜を使用。
さらに永源寺山奥から湧き出る名水を利用した地蕎麦です。

永源寺そばと天ざるそばをいただきましたが、
地元で採れた舞茸の天ぷらを添えた永源寺そばは温かいほんのり甘めの出汁につかった温蕎麦。
喉越しも舌触りも抜群。天ぷらの衣もサクッと揚がり素晴らしい食感でした。
天ざるの冷たいお蕎麦はより出汁の味が濃くて、蕎麦を引き立てます。

蕎麦通にはコシの深さを感じさせるざるがお勧めかもですね。
とにもかくにも地元の蕎麦打ちの技と打ち立ての喉越し。
さらに野菜の味と衣のサクッと感を堪能できる名店で、たっぷりと腹ごしらえが出来ました。
永源寺参詣の際には是非ともお立ち寄りください(昨今の経済情勢で価格の変動にはご注意ください)。
ご覧いただき、ありがとうございました。

バックナンバー

No. 発行日 タイトル
第38回2026/06/18永源寺とその周辺編
第37回2026/02/12お多賀さん・多賀大社編
No. 発行日 タイトル
第31回2024/10/30堅田・浮御堂編
第30回2024/06/25三井寺
第29回2024/02/06石山寺
No. 発行日 タイトル
第28回2023/12/04今話題の『かき氷』
第27回2023/09/08沖島
第26回2023/06/05八幡山城跡
第25回2023/03/15佐竹恒彦選手のお勧めスポット紹介
No. 発行日 タイトル
第19回2021/11/10姉川周辺から小谷城跡
第18回2021/08/25大溝城跡探訪
第17回2021/03/01安土城跡探訪
第16回2021/01/29長浜歴史旅
No. 発行日 タイトル
第15回2020/12/31坂本歴史旅2
第14回2020/10/30坂本歴史旅
第13回2020/01/24【4828 松山将吾】信楽
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